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70ー80年代ロック名曲セレクション

ハード、ポップ、プログレ、ファンク、・・・等々、1970ー1980年代の洋楽ロックの名曲を独断と偏見でご紹介。この曲達を聞かずして、ロックを語ること無かれ。

Ebony And Ivory 【Paul McCartney & Stevie Wonder】 (1982)

収録アルバム "Tug Of War"

 

 

収録アルバム "Song Review: Greatest Hits Collection"

 

 

今回は、ポール・マッカートニースティービー・ワンダーという「ポップ・ミュージック界の天才」と「ブラック・ミュージック界の巨匠」の夢の共演による至上のバラード "Ebony And Ivory" です。

「エボニー&アイボリー」というのは、ピアノの黒鍵と白鍵のことで、「ピアノの上では黒鍵と白鍵が隣り合わせで素晴らしいハーモニーを奏でるというのに、私たち人間はどうしてそれができないのだろう」という内容の詩を、優しく美しいメロディに乗せて、ポールとスティービーが歌い上げています。人種差別という重いテーマですが、ピアノに例えてむしろ明るく楽しく、今後に希望を抱かせるような曲調になっているのがいいですね。二人のハモリも最高です。

当時おそらく "Best Hit USA" で見たPVでも、二人が楽しげに演奏し、歌っている姿がとても印象的でした。が、後で知ったのですが、二人ともスーパースターなのでスケジュールが全然合わず、別々に撮影した映像を合成したものだったとは・・・!

 

I Like The Fright 【Sheena Easton】 (1983)

収録アルバム "Best Kept Secret"(邦題:秘密)

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「ジェイ・グレイドン祭り」の第三弾は、イギリスの歌姫、シーナ・イーストンの4枚目のアルバム "Best Kept Secret" から "I Like The Fright" です。

シーナ・イーストンは1980年に "Modern Girl" でデビュー、ショートカットのクールなルックスがちょっとワルっぽい雰囲気を醸し出していますが、ハリのある歌声は高音域から低音域までムラなく綺麗にカバーし、シャウト系のハードな曲からしっとりとしたバラードまでどんな曲でも歌いこなす実力派ボーカリストです。グラミー賞の新人賞を受賞していることからも、その実力が覗えます。

このアルバム "Best Kept Secret" は、ジェイ・グレイドンとグレッグ・マティソン(アメリカ西海岸のAOR系キーボーディスト、プロデューサー)との共同プロデュースで、アルバムから "Telefone" がシングル・カットされてスマッシュ・ヒットしたので、こちらを覚えている方もいるかも知れませんね。アルバム全体の印象としては、当時流行りの打ち込みサウンド系のAOR的な音作りと言いましょうか。ポップなナンバーあり、バラードありでとても聴きやすい作品です。

今回は「ジェイ・グレイドン祭り」ということで、アルバムの中からジェイ・グレイドン単独プロデュースの "I Like The Fright" を取り上げたいと思います。

この曲もやはり打ち込み系のサウンドで、イントロからシンセおよびシンセ・ベースのバッキングがリズミカルで気持ちよく響いてきます。歌詞の内容的にもボーカルはテンション抑え目なのですが、サビに近づくに連れて、徐々に盛り上がっていきます。

間奏はこれも「祭り」にピッタリの、ジェイ・グレイドンのスリリングなギター・ソロが、曲調とマッチして非常に印象的です。

このアルバムの中では、他にもアップ・テンポな "Let Sleeping Dogs Lie"、美しいバラードの "Just One Smile" も単独プロデュースで、それぞれまた雰囲気の違ったギター・ソロを聴かせてくれていますので、ぜひお聞きいただければ、と思います。

ギタリスト、プロデューサーとしてのジェイ・グレイドンの魅力は、この三回だけではまだまだ語り尽くせないのですが、また機会がありましたら、「祭り」の第二回、第三回・・・を企画したいと思います。

 

Twilight Zone/Twilight Tone 【MANHATTAN TRANSFER】 (1979)

収録アルバム "EXTENSIONS"

 

 

「ジェイ・グレイドン祭り」第2弾は、マンハッタン・トランスファーの "Twilight Zone/Twilight Tone" です。

マンハッタン・トランスファーは1975年にデビューしたアメリカのジャズ・ボーカル・グループで、卓越したボーカル技術とハーモニーでグラミー賞のジャズ・ボーカル部門の賞を何度も受賞しています。そのレパートリーは非常に幅広く、ジャズ、フュージョンに留まらず、ポップスあるいはロックまでカバーしてしまう、実力・人気ともにトップ・クラスのグループです。

そのマンハッタン・トランスファーの通算4枚目のスタジオ盤 "EXTENSIONS" ですが、ジェイ・グレイドンが全面的にプロデュースを行っており、とりわけポップ・ロック色の濃いアルバムになっています。

今回取り上げた "Twilight Zone/Twilight Tone" は、ミステリーの世界を扱ったアメリカのテレビ番組「トワイライト・ゾーン」の主題歌で、この曲のヒットにより、マンハッタン・トランスファーが大きく飛躍していくきっかけとなります。

怪しげな音階のイントロ、不安を煽るようなナレーションから一転してポップ・ロック調の力強いリズムとボーカルに切り替わると、素晴らしいジェイ・グレイドンの創造した曲の世界が広がっていきます。そして間奏のギター・ソロでは、「ジェイ・グレイドン祭り・第2弾」に相応しい、グレイドンならではのサウンドとフレーズを堪能できます。

それにしても、ボーカルの上手さと迫力はハンパないです。流石!という感じなんですが、実は、バックのミュージシャンも凄いんです。

 ドラム:ジェフ・ポーカロ

 ベース:デビッド・ハンゲイト

 リズム・ギター:スティーブ・ルカサー

って、TOTOじゃん!

しかし、それでもTOTOの曲にならないのは、ジェイ・グレイドンのプロデュースの力であり、何よりもマンハッタン・トランスファーのボーカルの成せる技なんでしょうね。

"AIRPLAY" のアルバムに収録されていた、"Nothin' You Can Do About It" も収録されていますので、聴き比べてみるのも楽しいですね。

 

Leave Me Alone 【AIRPLAY】 (1980)

収録アルバム "AIRPLAY"(邦題:ロマンティック)

 

 

今回から3回連続で「ジェイ・グレイドン祭り」を開催します!

ジェイ・グレイドンは、アメリカ西海岸を代表するプロデューサー、ギタリストで、その手腕を買われて様々なミュージシャンのアルバムをプロデュースし、またギタリストとしてレコーディングに参加しています。この頃の洋楽が好きな方なら、きっと一度はその演奏を耳にしているはず。また、日本のミュージシャンのアルバムでも数多く演奏しています。

その彼が、やはりアメリカを代表するプロデューサーでありスタジオ・ミュージシャンであるデヴィッド・フォスターと意気投合し、立ち上げたプロジェクトが "AIRPLAY" であり、このアルバム1枚のみを "AIRPLAY" として発表しています。実力派ミュージシャン二人が(彼らが信頼をおくミュージシャンを集めて)作ったアルバムなので、完成度が低いわけがありません。基本は "AOR" と呼ばれる洗練された都会的なロックなのですが、ちょっと突き抜けた曲あり、ホーン・セクションの効いたファンク調の曲あり、美しいバラードあり、と、何度でも聴くことのできる、名盤中の名盤だと思います(アース・ウィンド&ファイヤに提供したバラードの名作 "After The Love Is Gone" もセルフ・カバーしています)。

ジェイ・グレイドンのギターは、程よくオーバードライブのかかった、とても円やかで耳障りの良いサウンドです。ソロ・フレーズも決して奇抜ではなく、超早弾きという訳でもなく、非常に滑らかな運指でスケールの高音から低音までをスムーズにアップ・ダウンしていくのが印象的です。それだからこそ、時折聴かせるトリッキーなフレーズが効果的なのでしょうね。

このアルバムでも、そんなジェイ・グレイドンのプレイが充分に堪能できます。速い曲でのリズミカルで疾走感のあるフレーズ、バラードでの泣きのフレーズなど、どれを取っても素晴らしい演奏です。また、何重にもダビングされたギター・オーケストレーションも、随所で聴くことができます。

「この曲」という1曲を選ぶのが非常に難しいのですが、ジェイ・グレイドンの遊び心も感じられる、"Leave Me Alone" を選んでみました。

テンポの速い、"AOR" と呼ぶにはノリのいいロック的な仕上がりの曲ですが、ボーカルの裏でチョッパー的な音を出したり、間奏のギター・ソロでトーキング・モジュレーターを使ってるあたり、グレイドンにしては珍しくいろいろやってくるなーという感じですね。それでも、ボーカルの合間のフィル・インではしっかりグレイドン節を聴かせてくれるのがとても嬉しいです。

その後のロックのアルバム作りに多大な影響を与えたと言われるこの1枚、まだお聴きでない方は、ぜひ!

次回もまた、ジェイ・グレイドンの名演について書きます!

 

Don't Tell Me You Love Me 【NIGHT RANGER】 (1982)

収録アルバム "Dawn Patorol"

 

 

アメリカ西海岸を代表するロック・バンド "Night Ranger" のデビュー・アルバム "Dawn Patorol"のヒット・チューン "Don't Tell Me You Love Me"です。

軽やかなギターのリフから始まる、疾走感タップリでノリノリのアメリカン・ハード・ロック・ナンバーです。このバンドの特徴は、何と言ってもブラッド・ギルスとジェフ・ワトソンというスタイルの異なる二人のギタリストが絡み合うツイン・リード・ギターなんですが、この曲でもその魅力が充分に発揮されています。ギター小僧にはたまらない曲ですね(斯く言う私も若い頃には一生懸命コピーしたものです)。

アルバム全体を通して、このツイン・ギターのリフをメインに、疾走感・開放感あふれる痛快なハード・ロックが展開されています。どの曲を取ってもハズレがなく、アルバムとしての完成度も非常に高いものだと思います。

さて。

洋楽フリークには超有名な話ですが、シブがき隊の「ZOKKON命(ラブ)」のイントロは、この "Don't Tell Me You Love Me" のイントロのパクリです。

ここで「パクリ」の是非について問うつもりは全くありません。

「パクリ」なのか、「オマージュ」なのか、「インスパイア」なのか・・・、その線引きは非常に難しいところで、どこまではいいとか、どこからは悪いとかという議論も散々繰り返されてはいると思うのですが、間違いなく言えるのは、日本の音楽界(特に歌謡曲、ニュー・ミュージック、ポップスといったジャンル)は、その製造工程に関わるコンポーザー、アレンジャーといった人達が、(綺麗な言葉で言えば)洋楽のエッセンスを上手く取り入れて、日本流(自分流)にアレンジすることを学習しながら、発展してきたのだということです。

そりゃまあ、製造者の意思かどうかはわかりませんが、似ちゃうこともありますよね。

元曲探し、とか、元曲との聴き比べとか、そんな洋楽の楽しみ方もアリだと思うので、それはそれでよろしいのではないかな、と思う次第であります。

 

Dance On A Volcano 【GENESYS】 (1976)

収録アルバム "Trick Of The Tail"

 

 

イギリスのプログレッシブ・ロック界の大御所・"GENESYS"が1976年に発表したアルバム"Trick Of The Tail"のトップを飾る曲、"Dance On A Volcano"を紹介します。

GENESYSは、1969年にデビューするのですが、当初は奇才ピーター・ガブリエル主導のもと、アート色の強いプログレッシブ・バンドとして人気を博していました。1975年にそのピーターが脱退すると、当時ドラマーだったフィル・コリンズがボーカルを担当することになり、よりリズム・ワークに重きを置いた新生GENESYSがスタートするわけです。

この"Dance On A Volcano"は、そのリズム・ワークが素晴らしい一曲です。速い7拍子と遅い7拍子が交互に現れる、非常に複雑で難しい曲なのですが、そんなの大した問題ではないとばかりに、演奏、ボーカルともにノリ良くスムーズに聴かせてしまうあたりが、さすが実力派、老舗プログレバンドといったところでしょうか。後半のドラマチックな盛り上がりを聴かせる構成も素晴らしいです。

しかし、この曲の真骨頂はライブでの演奏ですね。

収録アルバム "Seconds Out"

 

 

このライブ・アルバムでは、"Dance On A Volcano"から"Los Endos"へのメドレーを聴くことができます。スタジオ盤よりも、ダイナミックで熱のこもった演奏は、ライブならではですね。

特に、聴きどころは"Los Endos"に突入したあたりからですね。それまでの(ライブのサポートメンバーである)チェスター・トンプソンのドラムが右手から、そしてマイクをスティックに持ち替えたフィル・コリンズのドラムが左手から聴こえてきて、ツイン・ドラム構成になるのですが、一糸の乱れもないリズムの正確さに驚愕し、迫力ある圧倒的な演奏にシビレます!

ちなみに、ツイン・ドラムの演奏は、同じアルバムの"Firth Of Fifth"でも聴くことができるので、こちらもぜひ!

 

We Built This City 【STARSHIP】 (1985)

収録アルバム "KNEE DEEP IN THE HOOPLA"

 

 

"STARSHIP"の全米NO.1ヒット・チューン、"We Built This City"です。

STARSHIPというバンドは、本を正すと1965年にデビューした「ジェファーソン・エアプレイン(Jefferson Airplane)」というバンドが大元になっており、それがメンバー・チェンジやなんだかんだの結果「ジェファーソン・スターシップ(Jefferson Starship)」というバンドになり、その後またメンバー・チェンジやなんだかんだの結果、STARSHIPにたどり着いた、という歴史の古いバンドです。

ジェファーソン・エアプレイの頃は、サイケデリック・ロックの代表格として捉えられており、ジェファーソン・スターシップでは一転して骨太のアメリカン・ハード・ロックバンドとして活躍し、何曲かのスマッシュ・ヒットも飛ばしました。

STARSHIPとしてはこのアルバムがデビュー作なのですが、音楽性は更に変化して、当時の最先端のエレクトリック・ポップを全面的に取り入れて、商業的には大成功を収めています。長い歴史の中で培われてきたバンドとしての実力が、路線変更で一気に花開いた、というところでしょうか。

この"We Built This City"(邦題:シスコはロックシティ)は、アルバム"Knee Deep In The Hoopla"のトップを飾る曲で、「俺達はロックンロールでこの街を作り上げたんだ!」と声高らかに歌い上げる、爽快でゴキゲンなポップ・ロックです。

このアルバムからは、さらに珠玉のバラード"Sara"も全米NO.1に輝きました。それ以外の曲についても、1曲1曲の完成度が高く、まさに傑作と呼べるアルバムとなっています。

バンドの特徴として、胸のすくようなハイトーン・ボイスの男性ボーカル(ミッキー・トーマス)と、男性に負けないハリと迫力ある女性ボーカル(グレイス・スリック)のツイン・ボーカルであることがあげられるでしょう。どの曲も、ボーカル・パートが聴きごたえがあり、本当に素晴らしいです。

 ちなみに、ユーミン松任谷由実)が好きな女性ボーカリストとしてグレイス・スリックの名前をあげていますね。アルバム「昨晩お会いしましょう」には、「グレイス・スリックの肖像」という歌が収録されています。